東南アジア市場は本当にブーミングするのか?【「アジア進出を成功に導く25講」著者 藤井賢一郎が斬るアジアビジネス】

東南アジアが「次の市場」といわれて久しい。6億人の中間層が生まれるともいわれつづけてきた。当社も中国に続いてこの地域にビジネスを展開してきたが、駐在経験者としては、

  1. どの国も一部の富裕層(華人系が多い)が富を独占している
  2. どの国も製造業においてはいまだ先進国の下請け企業である
  3. AECができて久しいがEUのような経済的メリットは少ない
  4. 人口増・若年層が多いことで、B to Cのビジネスは明るいが、B to Bは?
  5. ミャンマーで明確になったが、未だ地政学的リスクの高い国が多い

当社製品の場合、国民一人当たりのGDPが5000ドルを超えた国から、優先度を置いてマーケティングしてきた。結果、

  1. タイに関しては最も日系企業に期待していたが、システム化という面ではいまだに遅れている
  2. 最大人口を持つインドネシアでも、日本車の国内販売は停滞しており、輸出にいたっては、製品品質が悪く、内需をカバーするにいたっていない
  3. ベトナムは確かに現在、日系製造業が進出する国となっているが、製品製造で手一杯でシステム管理には手がついていない工場が多い
  4. シンガポールは製造業が少なく、フィリピンはビジネスモデルが異なる(海外出稼ぎが中心)
  5. マレーシアも中進国の罠にはまっており、国産重視の政策は、海外企業の進出を阻んている

というのが、現時点での当方の見解である。

ここにきてコロナの影響下で、これらの国々は、お金持ちのシンガポールを除いて、ワクチン接種が進んでおらず、医療体制も脆弱であることから、いつになったらコロナ禍から抜け出せるのか?メドが立っていない。

すくなくとも、2020年に続いて2021年も経済の復活は望めない。ミャンマーにいたっては軍によるクーデターで、日本人駐在員の帰国ラッシュとなっている。コロナの中でもミャンマーから日本への帰国便の使用率は70%を超えている。

では、東南アジア市場は本当にブーミングできないのか?といえば、当方の見解は異なる。

当方も中国に続いてこの地域での日系製造業の発展が望めるとして、タイ インドネシアと駐在してきた(ベトナムはコロナで中止)。ただ以前はアセアン全体としてみていたが、今は違う。

1国1国のマーケットの状況をよく見て投資すべきと考える。結果として、あと5年?(コロナで後10年?)かかるかもしれないが、アセアン全体の経済があるステージまでに成長するものと想定する。

しかし、EUと同様で、ドイツのように経済発展をとげている国、ギリシャのように他国にパラサイトせざるを得ないような国などの現実を見る限り、アセアンでも同様の状況となるものと予測する。

ではどの国が将来的にアセアン内で経済的なリーダとなるのか?大胆に予測をさせていただければ、今後5年でどの国が中国パワーを吸収できるかによるのではないだろうか?

すでに、日系製造業の工場進出の兵站はアセアンではのびきった感がある。前述のようにアセアンでは、中国企業の進出を受け入れられる華人系の財閥が跋扈している。

米中覇権戦争の影響や中国自体の国内負債の増大などの不安定要素もあるため、絶対そうなるとはいいきれないが、いくつかの東南アジア市場の将来像の中では、有力なひとつのストーリではないか?と思われる。

システム開発でも現在は従来のウォータフロー型ではなく、アジャイル開発手法がもてはやされている。

未来予測の難しい世界では、いくつかの仮定のもとに施策を展開し、状況の変化に応じてすばやく方針を変えられる準備が不可欠だ。

当社のアセアンAプランに対して用意されているのはプランB インド戦略だ。1国で将来中国を超える人口をもつようになると想定されており、5年後には日本を抜いて世界第三位のGDP先進国になるとの予測もでている。

当方の国民一人当たりGDP5000ドル市場基準からすればまだまだだが、生産スケジューラの市場確立・現地代理店の育成には最低でも5年を要するので、現時点から当社として取り組んでいる。

藤井賢一郎 fujii@asprova.com
2000年代より、中国・タイ・インドネシアに駐在。コロナの影響でベトナムには駐在できずにいるが、日々、現地の代理店と情報交換の上、ビジネスをすすめている。
アスプローバ株式会社 営業顧問
著書
「アジア進出を成功に導く レクチャー25講」
株式会社青月社刊

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