中国市場と関わったのは10年以上も前になる。当時は、まだ尖閣諸島問題以前の時期であり、日中関係も表面上はよかった。
ターゲットは日系企業がメインで、わずかに中国民営企業。国営企業は、特殊な営業手法が必要とされ、対象外。それは今も変わらない。
2008年は、中国市場でソフトウェアが日系企業によく売れた年で高い売上を実現した。初代の上海総経理は、日本語の堪能な中国人で、自ら当社に自分を売り込んできた。
中国のビジネスで注意しなければならないのは、中国人の面子を大切にする事。優秀な人材ほど、日本からのアレコレの指示は逆効果になる。
また、インセンティブを重視しているので約束は必ず守らなければならない。この点、中国ビジネスに慣れない当社は当初失敗した。
中国人の現地責任者には、日本語の話せる人材であることはもちろん、日本のビジネスマナーに精通している人がよい。
中国の顧客だが、エンドユーザー、代理店候補を問わず、以下の3点を必ず要求してくる。
- 中国での当社製品のインストール数の提示
- 当社製品の導入顧客の見学
- 当社中国事務所の見学。
1は当社の場合、以前から日本でのユーザーが中国工場に導入しているケースが多くあった。
2に関しては、日系ユーザーは事例公開に消極的で、最初の見学ユーザーは中国の民営企業となった。
3については企業の信用や事業の継続性にもあたるのでそれなりの配慮が必要である。
現在の中国市場では、90%が中国民営企業の顧客となっている。生産スケジューラも市場に認知されるようになる反面、コンペ製品も多くみられるようになった。
製品機能では、アスプローバに匹敵する製品はまだないが、価格面では、10分の1程度である。高機能高価格のみのマーケットで勝負するか?低価格製品を含めたロングテールな価格帯にするのか?はその会社の方針次第である。
中国市場での日系企業以外の外資系企業では、本社本国の縛りが強く、中国工場では製品がきめられない。例えば、当社ヨーロッパ法人の案件の場合、グローバル展開する製品は、ヨーロッパ本社で決定される。しかし、中国工場への導入は中国の代理店でないとできないために、毎回調整が必要となる。
中国企業の今後としては、彼らの工場が、日系企業と同様に東南アジアに進出していくことが考えられる。すでに、進出している中系企業もあるが、その中に中国本土でアスプローバを使っている企業があれば、提案しやすい。
当社の中国法人も10年来の現地代理店さんと合資して、人員的にも拠点的にも拡大方向にある。これまで空白地帯であった華北や内陸にも進出した。現在はメンバー全員が中国人であり、今後もその方向性は変わらないだろう。

2000年代より、中国・タイ・インドネシアに駐在。コロナの影響でベトナムには駐在できずにいるが、日々、現地の代理店と情報交換の上、ビジネスをすすめている。
アスプローバ株式会社 営業顧問

「アジア進出を成功に導く レクチャー25講」
株式会社青月社刊