昨年タイで2社が事業撤退した。コロナの影響と思われる。当社が東南アジアにもつ日系の代理店は以下の3つに分類される。
- オフショアにしろ、現地ビジネスにしろ岩盤の固定客をもっている現地の会社
- 日本から進出の時に親会社(製造業)の現地の仕事を既得権としてもっている会社
- 日本の大手SI企業で、現地支店を持ち独自のビジネスを展開している会社
これらの会社はビジネス基盤が底堅く、簡単にはつぶれない。
1の代理店の社長は現地に根付いて活動している特徴があり、工場同様、日本からきている駐在員がまわしているシステム会社は、既得権以外には新規営業力が弱い。
ただし、地元の日系企業が、そのネームバリューから安心感をいただいて仕事を依頼するケースも多くみられる。
しかし、現地拠点の実力に乏しい会社もあり、選択には注意すべきで、結果日本からの出張者によるシステム構築になり、コストが膨らむことも多い。
特に当社が期待している代理店は1の分類にあたる会社だが、比較的小ぶりでも社長を中心に営業力が強い。
当社製品は情報系のシステムに比較すると、売れにくい、構築に労力がかかるために、これら社長としっかりビジネスとしての連携をとることが不可欠だ。
そのために当社としては、ご紹介した顧客であっても、まずは当社製品ではなく、パートナーが売りやすい・やりやすい商品を売って、その代理店の顧客にしてほしいとお願いしている。
当社海外拠点としては、アジアの他に中国とドイツがある。これらの拠点は、日本本社と同様に代理店ビジネスをモデルとしてはいるが、直販ビジネスの傾向も強い。
日本市場以外で難しい製品を短期間で海外市場にて立ち上げるためには、海外支店による直販ファンクションがかかせない。
その点東南アジア支店はマレーシアにあるが実質機能していない。日本本社から東南アジア市場をみているのが現実だ。
上海法人は直轄法人、ドイツ法人はWin Winとなる良き協業相手と合弁したことで成功している。東南アジアはその逆といえる。日本の会社が現地企業と合弁するときの反面教師としていただきたい。
最近はOKY(お前来てやってみろ)との現地駐在員の捨てセリフに対して、OKI(お前の代わりならいくらでもいる)という日本本社の返し刀がはやっているそうだ。
当社も東南アジアでの体制は見直したいが、日本ビジネスがうまくいっている日本本社にはその視点が欠落している。東南アジア各国で、良き会社と出会えることを祈るのみだ。
では、東南アジア各国でのローカルのシステム会社は当社代理店として有望な候補となるだろうか?
実質、インドネシア ベトナムではこれまでに、そうしたローカル代理店が1社ずつあったが、一見ビジネスに終わってしまっている。
当社側にも問題があり、英語以外に現地語での対応が必要だが、その人材はいない。これらローカル代理店は中国市場のように中国企業の顧客が増えてくる場合、ドイツ支店のようにもともと日系の顧客が少ない市場では重要となってくるが、現時点の東南アジア市場は日系顧客が中心だ。
総じて東南アジアで日系の代理店を見つけることは困難だ。もともと、候補数が少ないうえに、オフショアビジネスが中心で、ソリューショントリガーのビジネス経験がない。
したがって、当面このコロナ禍では、復活する東南アジア市場を待って、現在の代理店を維持することに専念しなければならない。プロモーションのお手伝いに加えて、廉価版のキャンペーンなどもすすめている。

2000年代より、中国・タイ・インドネシアに駐在。コロナの影響でベトナムには駐在できずにいるが、日々、現地の代理店と情報交換の上、ビジネスをすすめている。
アスプローバ株式会社 営業顧問
著書
「アジア進出を成功に導く レクチャー25講」
株式会社青月社刊