プロセス系生産工場で頻発する多品種の計画変更に対応し生産効率を改善 【日系企業のインドネシア進出の先駆け】

PT. INDONESIA NIKKA CHEMICALS

  1. 会社紹介

住所 :    Karawang International Industrial City (KIIC) JI.Maligi ⅡLot E-3 Karawang 41361, INDONESIA

社歴他
 1974年 創業     繊維化学薬剤製造
 1969年 インドネシア政府の外資受入れ開始により、日本の繊維業がインドネシアに進出それに伴い、
インドネシアに工場を設立。アパレル関係の顧客をメインに、現在は日系企業のみならず、
インドネシアローカル企業にも製品を提供。
  
 製品は主に、日本本社にて開発。 インドネシア工場では、現地顧客向けにカスタマイズしている。

従業員
  約130名

日本本社
  日華化学株式会社  本社所在地          〒910-8670 福井県福井市文京4-23-1
  https://www.nicca.co.jp/

2. 生産スケジューラを導入するに至った経緯

インドネシア工場では、繊維の関係の化学品薬剤(標準品 日本開発)を、現地の 顧客向けにカスタマイズして提供。その結果、約600品種をバッチ生産することとなった。従来は、各製造ライン装置に対して人手で差し立て票を作成提供していたが、

・品種の多さ 
・必ずしも生産効率の高いディスパッチングができていたとは言えなかった
・生産計画変更に伴う作業時間と工数が多くかかった。

などの問題点があり、当初はインドネシアのSI企業に生産スケジューラのスクラッチ開発を依頼。同社よりAsprovaを紹介され、導入決定に至る。

3. 導入あたっての苦労

当初、品種の多さ・工程の複雑さ・タクトタイムの未設定などの理由から、Asprovaのマスタ設定に時間を要した。途中、担当者が転職する(東南アジア各国で共通する問題)などの理由で、事前準備に半年を要したが、結果、十分な事前準備から、2020年に入り、本格立ち上げまでは8ケ月という短期間での立ち上げを実現した。(通常、東南アジアの日系工場の同製品立ち上げには、平均1年を要する)

4. 現時点で想定される導入効果と問題点

現時点(2020年12月1日取材)では、本格運用がスタートしたばかりだが、システム導入効果としては、

・従来手作業に比較して短時間でスケジュールできるようになった
・生産計画者 2名 マスタメンテナンス者とオペレータで運用できるようになった

などの点が見られる。

(実際に東南アジアの日系工場では、ほかに、リードタイムの短縮・在庫の削減・納期遵守率の向上などの導入効果がみられるが、これらには、システムカットオーバ後、半年から1年を要する)

現状問題点としてあがってきているのは、

・新しいマスタをつくるのに時間がかかる。(導入パートナーにより、アドオンシステムが提供され、習熟度に比例して解消されていくのではないか?)

・実運用に入ってから、新しいシステム要件が生まれ、それらに対応する必要がある。(要件定義段階では想定されない要素がシステムの実運用に入り、散見されることがあるが、システムのブラッシュアップという観点からは喜ばしいことではないか?)

5. 今後の計画

これまで、製造現場管理という視点からは、デジタル化がされていなかったが、Asprova導入をトリガーに、工程管理のIT化を進めていく方針(インドネシアでも、現在、製造現場のIOTはインドネシア政府により推奨されているが、具体的に実現できている工場は少ない)

この工場では今後、段階的に、製造現場でタブレットなどを利用し、製造実績を収集していく方針(アスプローバにとっても製造実績の正確な把握は、リスケジューリングに際して不可欠)

6. 現状の生産管理システム全体のシステム構成

  日華化学グループは、現在日本の各工場にAsprovaを続いて導入中。加えて、生産管理システムを含めた基幹システムのリニューアルをERP(Enterprise Resource Planning)により推進している。インドネシア工場のAsprovaも現時点では単独運用だが、将来的には日華化学グループ全体の標準システムとしてERPとの接続が必要となると思われる(AsprovaはERPよりマスタデータの一部・製造実績・理論在庫情報などを頂くことが通常)

将来はERPとの接続あり

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7. 導入パートナーとの関係

 顧客自身と導入をサポートする地元のSI会社(バテラ ハイシステム インドネシア https://bahtera.jp/)との関係は良好。Asprovaは、その他オフィスパッケージソフトウェアなどとは異なり、導入に際して経験のあるパートナーが不可欠となる。その点、今回、パテラ ハイシステム インドネシア 山本社長からは、Asprova利用に際しての助言サポートのみならず、顧客の使い勝手を考慮したアドオンシステムの提供や将来のERPシステムとの接続を見越した中間データベースの提案など、適切な提案がされている。

8. 製品メーカ(アスプローバ社)に顧客が希望すること

「もっとマスタメンテナンスが簡単にできるようにしてほしい」

アスプローバ社としては、製品実運用継続のキーともなるマスタメンテナンスを支援するAsprova BOM ( https://www.asprova.jp/products/bom.html ) などの機能を提供させていただいているが、東南アジア域では日本の工場とは異なる環境もあり、個別の顧客要件・レベルに合わせた対応が不可欠となる。

今後のメーカとしての課題だが、今回は、導入パートナーのアドオン開発でマスタデータベースの複数人での同時メンテナンスを実現できた。(Asprova本体は、本来はスタンドアローン運用を前提として開発されてきた経緯もあり、この顧客の要件を実現するためには、Asprova NLS(Network License Server):ネットワーク認証サーバ・DS(Data Server):データサーバ (https://www.asprova.jp/products/nls_ds.html) などのオプション購入が必要となる。

9. その他

その他、顧客からは、現地要員の現地語によるAsprova教育の話が出た。現時点では、日本語・英語・中国語でのAsprovaの標準トレーニングや活用セミナ・イーラーニング (https://seminar.asprova.jp/)などのサービスを年間保守契約を締結いただいた顧客には提供させていただいているが、インドネシア語・タイ語・ベトナム語などでの対応は、現地の当社パートナーに個別にお願いさせていただいているのが現状である。

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