5/14に中国蘇州工業区の日系製造業20社ほどに参加いただいて、工場の自動化をテーマにオンラインセミナを開催した。東南アジアのオンラインセミナでも毎回参加者に問うアンケート回答で、
- 東南アジアの日系工場では、在庫の見える化や精度向上が問題点の第一
- 中国工場は、リードタイムの短縮が第一回答となった
東南アジアの工場では、まだまだ管理面で問題があり、中国工場は次のステージに移っているように思われる。
内容としては、日本の現役の生産技術者に講演いただき、工場の自動化のポイントや留意点を話してもらった。
現役の方で実際に日本の自社工場で工場の自動化を実現したリーダでもあるために、話の内容も示唆に富んだものであった。
当たり前のことだが、日本での工場自動化は生産効率を向上させるものであり、労働人口が減少に転じた中国工場にも重要な視点だ。
日本の工場で自動化のひな形を作り、それを中国工場に展開かるという方法論も生産スケジューラのそれと類似していて興味深かった。
工場のDX化という側面からは、当社製品とRPA(Robot Process Automation)の紹介があった。
後者に関しては中国工場でも半数以上の工場で導入されていることに驚いた。
中国も労働者の権利が強い国であるため、RPAの導入により重複作業の軽減が実現されても、人員削減にはつながらない。
余剰人員をより付加価値の高い業務に向けるという点で、生産スケジューラの導入効果と同様の話がされていた。
今回は蘇州地域の日系製造業を中心に案内した。蘇州地域は歴史の古い工業区だが、未だ、頑張っている日系製造業が多いことを実感した。
さりながら、RPAに関心が高く、人員削減に話題が行く点、人件費の高騰になやまされていることがしのばれる。
今後、労働人口が減少していく環境の中では、限られた人員で生産性をあげることも求められる。
また、生産スケジュールの自動化同様、間接業務であっても、人員の転職にまだまだ、悩まされており、属人性をさけるという観点からのこれらシステムの導入事例は、東南アジアの日系工場にも参考になる。
コロナによって東南アジアの工場は中国の工場と比較して周回遅れとなった。キャッチアップが期待できるのは、もしかしたら、ベトナムかもしれない。
コロナ禍で各国とオンラインのビジネスマッチングをするとベトナム企業の人は必ず時間通りにZOOMに参加してくる。タイ人やインドネシア人の時間にルーズはあいかわらずだ。
国民生活の幸福度とは関係なく、ビジネスに勝利するためにはスピードと時間厳守はかかせない。長い歴史に裏打ちされた国民性は容易には変わらないと思う。
今回は中国にいる日系製造業を対象にセミナを開催したが、次回は、中国系企業を対象としてみたい。
当社製品のほとんどのユーザが、現時点では中国民営企業だが、彼らがどんな問題を抱えているのか?を調査してみたい。
タイやインドネシアでの当社ローカルユーザはいまだに大手企業であることもあるが、下手な日系工場よりも管理がしっかりしている。
今後、タイやインドネシアでは現地語での情報提供も増強したい。このサイトも日本語英語のほかタイ語インドネシア語でのコンテンツがあることもその方針に沿った内容だ。
直近の情報では中国市場のみコロナ前を回復している。東南アジアでは再度コロナが流行しており、市場が停滞している。
日系企業の中国ビジネスも回復してきているが、アジアでの中国依存度の高さも否めない。
ハイテク技術のブラックホールともなりうる中国でどこまでビジネスを伸ばすのか?は悩ましいところではあるが、コロナで傷んだ各国経済にしてみれば、短期的には、儲かる市場で儲けるしかない。
中長期の視野も重要ではあるが、グローバル化の中で、コロナだけでなく先は読めない。

2000年代より、中国・タイ・インドネシアに駐在。コロナの影響でベトナムには駐在できずにいるが、日々、現地の代理店と情報交換の上、ビジネスをすすめている。
アスプローバ株式会社 営業顧問

「アジア進出を成功に導く レクチャー25講」
株式会社青月社刊