各国の半導体産業戦略【「アジア進出を成功に導く25講」著者 藤井賢一郎が斬るアジアビジネス】

当方、前職、半導体企業の工場でシステムエンジニアをしていました。その当時、「半導体は産業の米」とよばれ、所属していた会社も年間売り上げ5000億円から1兆円企業を目指していました。

その後、アメリカによる日本タタキにより、日本の半導体企業は衰退。近年では、前述の企業も一度倒産寸前の憂き目をみて、大規模な早期退職に踏み切ったときいています。

それが昨今どうでしょうか?各国とも戦略物資として半導体を位置づけ、国内生産拡大に必死になっています。

現在の中国が日本タタキを十分にできないのも、半導体製造それ自体はすたれた日本でも、必要な素材や半導体製造装置では、未だに日本はトップランク。アメリカに制裁をうける中では、日本は外せない状態にあります。

半導体はクローズアップされている電気自動車への適用のみならず、本来は武器転用できるキーパーツです。中国もやがては自国内生産で十分という状況を作りだすでしょう。あの国の体制からしてそれは遠くない未来だと思います。

また、最近新聞紙上を騒がせているのは、半導体工場の火災などのトラブルです。半導体製造工場は鉄鋼製造と同様で一度とめてしまうと、故障や事故の確率があがります。

また、製造技術のみならず保守メンテ作業においても高度な技術伝承を必要とする産業です。現在起きている事故は必然とも言えますが、唯一、半導体の工程は機械工程であり、多くの労働力を必要としない点で日本でも、半導体事業復活の可能性はあります。

当社のスケジューラが半導体工場で利用されている例としては以下のケースがあります。

  1. 半導体の炉工程は長いリードタイムを必要とし、同一レシピのLOTを処理することによってボトルネックが解消できます。
  2. 半導体装置は利用の回数により保守メンテが必要となるため、将来の保守計画を策定します。
  3. 半導体装置は一台数億円しますので、将来の需給計画に基づき、半導体装置の購入投資計画のシミュレートを実現します。

これらの対応には多大な費用が掛かるため、生産スケジューラAsprovaの数千万円の投資は、半導体装置1台の値引き額でまかなえてしまうというわけです。

ふただび、世界の工場で注目をあびつつある半導体。生産管理システムといっても進捗管理と若干の資材・ユーティリテイ管理にとどまるDX化の中で、生産スケジューラの需要もますます、高まっていくものと確信しています。
当社としても、1980年代の世界の半導体製造の半分以上のシェアを閉めていた日本工場の復活に寄与できればとも考えています。

藤井賢一郎 fujii@asprova.com
2000年代より、中国・タイ・インドネシアに駐在。コロナの影響でベトナムには駐在できずにいるが、日々、現地の代理店と情報交換の上、ビジネスをすすめている。
アスプローバ株式会社 営業顧問


著書
「アジア進出を成功に導く レクチャー25講」
株式会社青月社刊

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