アスプローバ営業体験記 第一回【「アジア進出を成功に導く25講」著者 藤井賢一郎が斬るアジアビジネス】

アジアでアスプローバの販売に関わって12年になる。ここ2年はコロナのために現地にいけていないが、これまでに、中国 タイ インドネシアに駐在してきた。これまでのアジアでの営業ノウハウをまとめてみた。

アジアでアスプローバを販売するにあたって最初にぶつかった壁は、売り方やマーケットについて先達がおらず、海外マーケティング会社を名乗るところでも物品に関する情報はあるものの、ソフトウェアましてや当社製品のようなニッチな製品に関しては皆無だという現実だ。結果、自ら現地に行き、市場を調査把握、売り方を見つけなければならなかった。

現地にいってといっても、腰掛けではできない。韓国のサムソンなどは、1年間社員を駐在させ、その国の市場調査のみに専念させるという。当社のような中小企業では、そのようなまねはできず、現地に駐在し、製品の販売体制の確立と市場調査を一人で走りながらおこなわなければならなかった。

当社の場合、アジアでも日本同様代理店を通しての製品販売で、直販はおこなわない。しかし、間接販売と言っても自社で販売ノウハウをその国の事情に応じて保有していなければ、現地販売代理店の開拓もままならない。最初の赴任地 中国でおこなったのは、既存代理店と既存ユーザへのヒヤリングである。

中国の場合、幸いなことに支店があり、販売実績もあった。しかし、当時はマーケットの大きさに比較して十分な業績をあげていなかった。責任者が日本本社に以前勤務していた製品開発者の中国人であったことが大きい。製品機能については詳しいが、製品の売り方をしらない。一般に新規市場の場合、営業経験者を先駆けとすべしが当方の意見だ。

中国の既存代理店だが、前任者により戦略なく開拓されていたために、整理に困った。ヒヤリングした各代理店の担当者は、一様に我田引水で代理店同士で顧客の取り合いで始終喧嘩が絶えない状態。中国のような広大な市場でも代理店の販売エリアの棲み分けは重要である。しかし、グリーディな代理店は営業に強く、仲良しグループでは新規開拓もままならないことも現実。この按排が難しい。

アジアのどの国の代理店も、最初はエクスクルーシブな販売契約を要求してくる。この要求には取り合わないことが肝心だ。アジアの代理店がいつまでも当社製品を売ってくれるか?保証の限りではない。

また、アジアの経営者は、日本人、現地人を問わず、交渉の初期段階ではダメもとで自社に有利な条件をぶつけてくるのが常だ。したがって、こちら側も臆せず断って両社で落としどころを見つける努力を惜しんではならない。

第一回はこのくらいにして次回に回したいとおもう。できるだけ定期的にとは考えているが、実業務もあるため保証の限りではない。読者からは、こんな情報がほしいとの意見を求める。

藤井のイーメールアドレスは、fujii@asprova.com

藤井賢一郎 fujii@asprova.com
2000年代より、中国・タイ・インドネシアに駐在。コロナの影響でベトナムには駐在できずにいるが、日々、現地の代理店と情報交換の上、ビジネスをすすめている。
アスプローバ株式会社 営業顧問著書
「アジア進出を成功に導く レクチャー25講」
株式会社青月社刊

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